期待しすぎると、人間関係が苦しくなる理由
テーマ : 自分デザイン 6.コミュニケーション
なぜ、私たちは他人にイライラしてしまうのか?
「相手に期待しすぎないこと」
これは、私が日々の生活や人間関係を構築する上で、何よりも大切にしているルールの1つです。
冷静に考えてみれば、自分には自分の都合や生活のリズムがあり、大切にしている考え方があります。それと全く同じように、相手には相手の都合があり、その人なりの優先順位や考え方がある。
これは、人間として当たり前のことです。
しかし私たちは、家族や職場の仲間など、関係性が近くなればなるほど、その「当たり前」を忘れてしまいます。
「分かってくれるはず」という無意識の押し付け
「言わなくても、これくらいは配慮してくれるはず」
「私の状況を見れば、分かってくれるだろう」
「あの人なら、これくらいの仕事はやっておいてくれるだろう」
私たちは無意識のうちに、相手に対して自分の基準で「こうあるべき」という期待を抱いてしまいます。そして、その期待が自分の思い通りにならなかった時、勝手に深くがっかりしてしまうのです。
「なんでこれくらいやってくれないんだろう」「どうして私の気持ちを分かってくれないんだろう」と、不満やイライラを募らせてしまいます。
でも、少し立ち止まってよく考えてみてください。この場合、相手は何か悪いことをしたのでしょうか?
実は、相手は何も悪くありません。ただ、自分が勝手に「こうしてくれるはずだ」と期待していただけなのです。
相手には相手の事情があり、今抱えている問題があり、その人なりのやり方があります。それを理解しようとせずに、自分の期待を、一方的に相手に押し付けているだけなのです。
介護生活で気づいた「私の問題」
私がこの「期待のズレ」の恐ろしさを痛感し、考え方を改めるようになったのは、母の介護を始めてからのことです。
介護が始まった最初の頃、私は無意識のうちに母に対して多くのことを期待していました。
「今日は調子が良いみたいだから、もう少し自分のことは自分でやってくれるだろう」
「私がこれだけ忙しく動いているのだから、もっと協力的になってくれるだろう」
しかし、高齢の母には母のペースがあります。日によって体調の波もありますし、思うように動けないもどかしさや、気持ちの浮き沈みもあります。
当然ですが、私の思い描いた「期待通り」に物事が進むことなど、ほとんどありませんでした。
そして、自分の期待通りにいかないたびに、「どうして?」と私はイライラを募らせ、きつく当たってしまいそうになることもありました。
でも、ある時ふと気づいたのです。
「これは、思い通りに動いてくれない母の問題ではない。勝手に高いハードルを設定して期待している『私の問題』なんだ」
期待を手放すと、自然に感謝が生まれる
それから、私は考え方を大きく変えることにしました。
「相手に期待しすぎない」ということを、徹底しようと決めたのです。
相手が自分のために何かをやってくれたら、それは「ラッキー」で、とてもありがたいこと。もし何もやってくれなくても、それが「普通」であり、当たり前のこと。
基準をぐっと下げて、この考え方にシフトした途端、驚くほど心が楽になりました。
「やってくれるはず」という思い込みがなくなったため、母がほんの小さなことでも自分でやってくれた時や、私を気遣う言葉をかけてくれた時、心の底から素直に「お母さん、ありがとう」と言えるようになったのです。
仕事の人間関係でも「期待値」をコントロールする
これは、家庭の中だけでなく、仕事の人間関係でも全く同じことが言えます。
部下や同僚に仕事をお願いする時、「これくらい言わなくてもやってくれるだろう」と期待して任せると、仕上がりが思い通りにならなかった時にひどくがっかりし、相手を責めたくなってしまいます。
でも、最初から過度な期待をせず、「ここまでやってくれたら十分」という明確なラインを引き、それ以上は求めないようにすれば、がっかりして腹を立てることも激減します。
そして、もし相手がこちらの期待を上回る気配りをしてくれた時には、心から敬意を持って感謝することができます。
もちろん、これは「相手に何も求めない」「すべて諦める」ということではありません。
仕事であれば、最低限お願いした業務はやって欲しいですし、社会人として約束は守って欲しい。しかし、それ以上の「プラスアルファの配慮」や「あうんの呼吸」を、勝手に期待して押し付けないようにしています。
「自分」と「相手」の間に境界線を引く
「相手は相手」
「自分は自分」
この境界線を、頭の中にしっかりと引くこと。
人間関係がギクシャクしてうまくいかない時、その原因の多くは、この境界線が曖昧になり生じる「期待のズレ」にあると私は思っています。
もし今、あなたが誰かに対してイライラしたり、モヤモヤしたりしているなら、今日から少しだけ意識を変えてみませんか?
「このイライラは、相手が悪いのではなく、私の勝手な期待のせいではないか?」
「自分の都合を、相手に押し付けていないだろうか?」
そうやって自分自身に問いかけるだけで、スッと肩の力が抜け、今までとは見える景色が大きく変わってくるかもしれません。
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