部下に早く仕事を覚えてもらうための教え方


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この記事のポイント

上司が部下に仕事を教える場面は多いと思います。「何度教えても、覚えてくれない」とイライラすることもあるかもしれません。人に教えると言うと、教わる側の能力を指摘することが多いですが、何度教えても覚えない場合は、相手が理解できるように上司が教えているかを振り返る必要があります。


部下に何度教えても覚えてくれない


上司であれば、新しい仕事を部下に教える場面がたくさんあると思います。

「何度教えても理解できなくて、同じミスを何度もしていまう」という経験は、人に教えたことがある人なら、誰でもあると思います。

そして、「部下のモノ覚えが悪い」となるわけです。でも、ちょっと待って欲しいのです。あなたは部下にきちんと教えているでしょうか?

「自分が教えたこと」と「相手が理解したこと」は別である


部下に教える時のポイントは、部下のレベルに立って教えるということです。「部下のモノ覚えが悪い」と考えている場合は、「自分が教えた」ことにフォーカスしています。

教え方がうまくない人は、自分のレベルで話をしてしまうので、知識や経験の浅い部下にとっては、「何を言っているのか、さっぱり分からない」ということにもなります。

「いや、部下に分かるように教えているよ」と思うかもしれませんが、教えた通りにできないということは、やはり部下に伝わっていないのです。

上司が部下に仕事を教える目的は、部下に仕事を覚えてもらうことです。部下に仕事を教えることは手段にすぎず、部下が仕事を覚えていないと言うことは、目的が達成されていないのです。

つまり、「自分が教えた」ということと、「相手が理解した」ということは別で、自分が教えたことを相手がきちんと理解しているかにフォーカスしていくのです。

部下に教える時は、教えた内容をメモしてもらい、教えた後に内容を復唱してもらう


部下に教える時のポイントは、教えた内容をメモしてもらうことです。そして、一通り教えた後、部下に教えたことを復唱してもらいます。

部下に教えたことを復唱してもらうことで、教えたことをきちんと理解しているかどうかが分かります。

聞いたことを理解することと、聞いたことを理解して、さらに相手に話をするのでは、理解度は全然違います。きちんと理解していないと、相手に話すことはできません。

きちんと理解していれば、そのまま仕事をやってもらえばいいし、あまり理解していないようであれば、もう一度部下が理解できるように教えればいいのです。

上司が部下に何かを教えるときはどうしても、【上司→部下】と一方通行になりがちです。

それを部下に復唱してもらうことで【上司←→部下】という形にして、双方向になるようにするのです。

やり取りを双方向にすることで、上司と部下のコミュニケーションを増やすことにもつながっていきます。

分からなかったけど、分かったと言うしかない現実


仕事のやり方を教えた後、部下に「分かった?」と聞いたら、部下は「分かりました」って言っていたのに・・・できない。

部下の立場から言うと、上司から教わった後で「分かった?」と聞かれれば、分かりましたと言うしかありません。

「分からなかったら、もう一度聞けばいいでしょ」と思うかもしれませんが、そうできないのが部下なのです。

上司は、いつも忙しそうに仕事をしていて、その合間に教えてくれているので、「もう一度教えて下さい」とは言いづらいのです。

さらに、部下が「分かりません」と言えば、上司は「何でちゃんと聞いていないの?」とか「あなたは、モノ覚えが悪い」と言われるのが分かっているからです。

そのちょっとした言葉が、部下にプレッシャーを与え、聞きづらい環境を作り出してしまうのです。

確かに同じ事を何度も教えることは面倒かもしれません。しかし、部下が間違った仕事をして、トラブルになるほうがもっと面倒です。

何度でも聞ける環境を作ることが大切


私が部下に教える場合は、「分からなかったら何度でも聞いて下さい。何度でも教えます。」と話しています。

何度か聞いているうちに「何度聞けば分かるの!」と、怒る人がいますよね。すると、相手が質問しづらくなって、仕事の覚えが遅くなります。

そうならないために、何度でも聞いて良い環境を用意しておくのです。気軽に質問できる環境を作る。これが、相手の覚えるスピードを上げる方法です。

「部下が理解できないのは、自分の教え方が悪い」私はこれをいつも念頭に置いて、教えています。

部下にどこまで仕事を教えれば良いのか?


部下に教える時、悩むのが、「どこまで教えていくのか?」だと思います。教えなさすぎると部下が成長しない、逆に教えすぎると甘やかしすぎると言われる。

私は、一定の素地が身に着くまでは、つきっきりで教えるようにしています。一定の素地とは、「何かをするときの基礎。土台。」仕事だと、その業務をする上で必要最低限な基礎知識を言います。

例えば、算数の足し算について考えてみます。

足し算で必要最低限な知識と言えば、一桁の足し算です。一桁の足し算が身につくまではつきっきりで教えていきます。これが理解できるようになったら、基礎は身についたと判断します。

そして、今後は一桁の足し算はもちろんのこと、二桁の足し算の場合でも本人に任せて解かせる。このように徐々に難しい課題を与えていくのです。

教えることが部下の甘えにつながると考えている人は、一桁の足し算も理解してないのに、二桁の足し算、三桁の足し算を解かせようとしているのです。一桁の足し算が理解できていないのですから、二桁も三桁の足し算が出来ないのも当たり前です。

それで、「部下は仕事が全然できない」と言うわけです。

確かに一定の素地が出来た以降も、上司に頼ってくる場合は甘えがあると感じますが、その素地が出来ていない場合は、つきっきりで教える必要があると考えています。

つきっきりで教えることが、甘えにつながると考えがちです。しかし、素地が出来上がるまでは、つきっきりで教えてしまった方が、結果的に部下は早く成長していきます。

行動へのステップ

1.部下に教えた後、内容を復唱させる
2.部下が質問しやすい環境を作る
3.業務をする上で必要最低限な基礎知識を覚えるまでは、つきっきりで教える